京掛軸/取り扱い方について

京掛軸へのこだわり

すべてのことに対して言えることですが、心の伝わるお仕事がさせて頂きたいといつも思っています。

画家の先生に絵を依頼するとき、図柄・構図はもちろんのこと第一に「やさしく心を込めて、尚且つ思い切り楽しんで描いて下さい。」とお伝えしています。

私たちは物事を進めるとき必ず心で行動します。
結果が心の現れです。

それは、自ずとその作品を見てくださる方に伝わり感動していただけると信じています。

祖父の代から京都でこの仕事に携わって100年という経過の中で特に掛軸に対してのこだわりを強く抱き続けています。

絵を依頼するときは、四季折々のもの、節句もの、歳時記等々味わい深いものを題材に選び侘び寂びの精神性にいたるまで深く探求していきたいと考えております。

絵を取り巻く素材は京都でもっとも古くからお仕事をなさっている老舗の紙屋さんの味わい深い唐紙を使い、表装の裂も京都の老舗の裂地屋さんの絓(しけ)という絹の光沢と京都で培われてきた伝統的なはんなりとした色目のものを使用し、仕上げは長年当社の仕事を手がけて頂いている京表具師さんの手によるものです。

紙・絵・裂地の三拍子がうまく調和してはじめて掛軸としての息吹が感じ取れると思います。

一作品ごとにこだわりをもって納得のいく作品に仕上げたいと願っております。

表具の歴史

表具の歴史は古く、飛鳥時代に佛教の伝来と共に請来した経巻などの擬製に端を発するとされています。


最も早い時期の佛画に施された表装が、掛軸の原初形態であると考えられ、奈良時代から平安時代にかけて屏風・衝立・襖の原型も見られます。

藤原期には佛画が掛軸の形で使われた事が文献によって知られています。

鎌倉時代には、禅宗文化や建築様式の変化に伴い宋朝表具の影響を受けながら、次第に日本的な技術として消化整理され、次の室町時代東山文化において一大完成期を迎えます。

一方、障壁画も盛んに描かれて寺院や武家邸宅を飾り、大画面の得られる屏風なども今日に近い技術まで発達しました。

京掛軸が出来るまで

仕立てる本紙(書・絵)にあわせ裂の取り合わせをします。

最終に仕上がる厚さのバランスを考慮し美濃紙等を選択し裏打作業を行う

裂も同様に作業する。

裏打作業後、仮張りに張り込み十分乾燥した本紙をめくり、決められた寸法に断つ

裂も同様の作業をする

決められた寸法に断たれた裂地に糊をつける。

表装形式によりますが、この形式の場合、一文字から行います

その次に両柱をつけます。

最後に中と上下をつけます。

すべて終わり、しばらくそのまま休ませます。

決められた寸法に巾を切断します。両端の部分はと呼ばれ1分ほど折り返す筋を引きます

両端の先ほど引いた筋をおります

仕上がりの厚さのバランスをみて、総裏の紙(宇田紙等)を寸法に断ち、紙と紙が重なる部分は(繊維をほぐし重なっても厚さが変わらなくするための技法)をする。 紙は台の上で糊付けをし尺であげる。別の台には(折り返しの耳の部分に糊をつける)をし、天地に軸をつけるための袋(軸袋)をつけた掛物をおく上部には上巻(薄い絹)を置き順番に紙を置いていく継ぎ目は喰裂きが重なりすぎずまた、隙すぎ無いようにつないでいく。全部の紙を置いたら打ち刷毛で全体を打ち紙を裂地と本紙に打ち込んでいく


打ち刷毛終了後、撫で刷毛で毛羽立った紙の繊維を取り除き表面を落ち着かせます

仮張りに張り込み乾燥させながら落ち着かせます。十分な期間をかけてゆっくりと乾燥させます。

乾燥終了後、仮張りから捲り、裏にイボタと呼ばれるロウを塗り、ガラスの数珠で裏をすっていきます(数珠摺り作業)これは紙の繊維を柔軟にするため。

両端の余分な紙をすいていきます。端よりほんの少し中に入るくらいのところですきます。

上軸(半月とも呼ぶ)をつけます。

風袋を決められた寸法のところに縫い付けます。

下軸(軸木ともいう)をつけます、両端には軸先がついています


上軸に掛け緒(ひも)を通す金具を打ちつけます

軸を掛ける紐(掛緒)と収納するときに使う巻き緒をつけます

収納するときに痛まないよう風袋の下と巻き緒の下に当て紙をします。

必ず防虫香を入れてください。虫は糊や紙を好みます。
又、ナフタリンは絶対やめてください。軸物のシミの原因です。

京掛軸のご家庭での取り扱い方

帙箱の中から掛軸を取り出す。

桐箱の蓋を開けて中より軸を取り出す。

左手で軸を待ち、掛緒の先を手前に引いてほどく。当て紙をはずす

右手で矢筈を、持ち掛緒に掛けて、軸を広げ軸釘に掛ける。矢筈を右側へ置き、左右の軸先を持ちながら最後まで広げる
※軸を掛けるときは矢筈(細い竹の先に又がある道具)を使います。

軸が床の間の中央に位置しているか、確認する。

軸先を持ち、壁に添わせて軸の2/3まで巻き

左手で軸の中央部を持ち、右手で矢筈を持ち掛緒を軸釘よりはずす

床の間の床面に軸を置き、残りを巻ききる

当て紙を当てる

左手で持ち、右手で巻き緒を持ち 中央

右、左と三回巻き

巻緒の残りを左手の中指で支えながら、半分に折り、掛緒の右側下をくぐらせる

巻緒のたるみの中をくぐらせる

掛緒の左側を上からくぐらせる


桐箱に納める


帙箱に納めて小鉤を掛ける

掛軸は、良質の手紙漉和紙と表装用として織られた裂地それに古く良く保存された糊とからなっています。
従って、特に湿気と過度の乾燥を嫌います。

① 冷暖房のききすぎた部屋や湿気の多い所に掛けないこと

② 湿気の少ない場所に保存すること

③ 年に二回程度、春秋の晴れた日に虫ぼしをすること

④ 連日掛けたままにせず、時々巻きおさめること

⑤ 掛けはずしの時、折れないように注意すること

⑥ あまり堅く巻かず、適度に巻いて紐はゆるくかけること